4:国民的罪悪感で日本が嫌いになる?
【カウンセラー長谷川】:
日本に居たくなくて、
海外で暮らしたくなる
心理的な理由のひとつとして、
「国民的罪悪感」があるんだよ
【柴犬うみ】:
「国民的罪悪感」?
あたしは初めて聞くけど言葉だなぁ。
あたしは柴犬だけど関係あるのかな?
心理カウンセラー
長谷川 貴士です。
「日本に居たくなくて、
海外で暮らしたくなる」
この気分の心理的な理由の
一例として「罪悪感」があります。
その理由となる「罪悪感」は、
大きく分けると、
2つに分類することができます。
< 1つ目 >は、
「家族の記憶」として
私たちの深層心理に伝わっている
(遺伝している)「罪悪感」です。
<2つ目>は、
「日本の国の記憶」として
私たちの深層心理が感じ取っている
「罪悪感」です。
- 「家族の記憶」の中の
「罪悪感」とは - 戦争による「罪悪感」
- 戦争が私達の心理に
「罪悪感」を作る理由 - 「戦争」が国・地域の
「罪悪感」を作る理由 - 戦争の「罪悪感」の
磁力のような影響力
1:「家族の記憶」の中の
「罪悪感」とは
< 1つ目 >の「家族の記憶」として
伝わっている「罪悪感」とは
家族やルーツの方が抱えていた
「罪悪感」です。
家族やルーツの方が
抱えていた「罪悪感」が
十分に癒される機会がなかった時、
その「罪悪感」は、「家族の記憶」
として蓄積されます。
「家族の記憶」は、親から子へと、
遺伝し、伝わります。
このために、「家族の記憶」として
残った「罪悪感」は、
子孫である私たちの
深層心理の中に伝わります。
その具体例としては、
前回ご紹介させて頂いた、
お米が凶作だった時の
娘を売らざるを得ない体験、
姥捨てや爺捨ての体験、
子消し(間引き)の体験
などからの「罪悪感」があります。
家族の誰かが犠牲になることで、
他の家族が生き延びることが
できた時や、救われた時、
その生き延びた家族の心の中には
「罪悪感」が生まれます。
「家族の記憶」として、
伝わってきている「罪悪感」は、
基本的にこの形
(=家族の誰かが犠牲になったことで、
他の家族が救われる)
の「罪悪感」が多いです。
日本に居たくなくて、海外で
暮らしたくなる理由の一つは、
私達の深層心理にある
「家族の記憶」として伝わっている
この形の「罪悪感」です。
◆ ◆ ◆
次は、日本に居たくなくて、
海外で暮らしたくなる
理由の一つとしてある、
「罪悪感」の2種類目です。
それは、
「日本の国の記憶」として
私たちの深層心理が感じ取っている
「罪悪感」です。
この< 2つ目 >の「罪悪感」の
代表的な< 例 >は
「戦争の罪悪感」です。
2:戦争による「罪悪感」
日本では、2000年以上前から、
日本国内で、日本人同士の戦争である
<内戦>と、日本国として、外国と行う
<対外戦争>が繰り返されてきました。
< 日本の内戦の例 >
今から約2000年前の
弥生時代の頃の日本では、
その当時の中国の公式な歴史書に
「日本は大乱状態だ」
と書かれるぐらいの激しい戦国時代、
つまり、内戦の時代でした。
弥生時代の遺跡の発掘調査からも、
骨に損傷がある遺体が
各地で見つかっており、
戦争の犠牲者と思われています。
日本では、弥生時代以来、
日本中で沢山の内戦が
行われ続けてきました。
有名なところでは、
源平合戦、
南北朝の乱
応仁の乱、
戦国時代、
戊辰戦争などがあり、
多くの犠牲者を生んできました。
今のところ、明治10年の
西南戦争が日本最後の内戦です。
<源平合戦の様子> 引用:コトバンク様
< 日本の対外戦争の例 >
白村江の戦い、
元寇、朝鮮出兵
日清戦争、
日露戦争、
ノモハン事件、
日中戦争、
太平洋戦争など
が行われてきました。
対外戦争でも多くの
犠牲者が生まれました。
◆ ◆ ◆
このように、日本では内戦と
対外戦争が繰り返されてきました。
これが私達、日本国、
日本人の歴史です。
私達の心理は、この、
これまでに繰り返されてきた
「戦争」の歴史からの
影響を受けています。
私達の心理には、
「戦争」の影響による
「罪悪感」が沢山あります。
その「罪悪感」は、
個人が受け継いでいる「罪悪感」であり、
国・地域の「罪悪感」、つまり
国民的罪悪感でもあります。
3:戦争が私達の心理に
「罪悪感」を作る理由
戦争とは、殺し合い、
奪い合う行為です。
このような行為に、
私達の心は「罪悪感」を
抱くようにできています。
普段は意識しませんが、
私たちの心の深いところには、
「自他同然」の感覚が
備わっています。
「自他同然」とは、
自分を思いやるのと
同じように他人を思いやる
気持ちのことです。
私達に「自他同然」の
感覚が備わっていて、
自分が害されることが
嫌なことである時、
他者を害する行為を行って、
私達の心は平気では居られません。
他者を害する行為は
心の深いところ(=本能レベル)で
「ルール違反」であり、
私達は、他者を害すると
「罪悪感」を抱きます。
「戦争」とは他者を
害する行為です。
「戦争」を体験すると、
私達は「罪悪感」を抱きます。
これが、「戦争」によって
「罪悪感」が作られる理由です。
日本人は、少なくとも
2000年前から「戦争」を
繰り返し行い続けてきました。
この「戦争」の歴史が作る
「罪悪感」が、
「家族の記憶」として
残ってしまうことも多いです。
そして、同時に、その「罪悪感」は、
「国・地域の記憶」としても残ります。
それは、次のような理由のためです。
4:「戦争」が国・地域の
「罪悪感」を作る理由
「戦争」は、個人の意志を越えて、
国と国、地域と地域など、
集団として行われます。
つまり、戦争に参加する個人が
自分の意志で「戦争」を始めたわけでも
「戦争」することを望んだわけでも
ない場合が多くあります。
国家や、地域のリーダーなどは、
「戦争」することを決めることで、
個人に「戦争」への参加を
強制することや(徴兵制度など)、
個人を戦争に巻き込むことがあります。
(略奪体験や空襲体験など。)
この時、1人、1人が体験した
「戦争」の記憶は、
国家や地域という同じ枠組みを
共有する個人、1人、1人に
共有されます。
「戦争」という、個人の力では
避けがたかった運命を、
全員が共有して背負うことになります。
「戦争」を体験することで
生まれた「罪悪感」は、
国、地域、国民の「記憶」であり、
「罪悪感」となります。
私達は、この、国や地域が
抱えている「罪悪感」から、
磁石がもつ、磁力のような
目には見えない影響を受けています。
5:戦争の「罪悪感」の
磁力のような影響力
私達の心理は、
「戦争」体験により
「国や地域」が抱えている
「罪悪感」の影響を受けます。
このような影響力(作用)を、
「場」の力と呼びます。
「場」の力とは、磁石が持つ磁力と
その磁力の及ぶ範囲である「場」、
つまり、「磁場」の例で
説明されることが多いです。
<磁場の様子> 引用:分かり易い高校物理様
磁石が生み出す磁力は、
磁石から離れた存在にも
影響を与えます。
例えば、地球が持つ磁力は、
方位磁針の針の向きに影響を与えます。
方位磁針を手に持っていて
地面(=地球)から離した状態でも、
地球の磁力は方位磁針の針の方向に
影響を与え続けます。
日本という国が経験した
「戦争」体験で生まれた「罪悪感」が、
まだ十分に癒されていない時、
日本が抱える「罪悪感」は生き続け、
磁力のような力を持ち続けます。
その力が日本人の心理に
影響を及ぼし続け、
日本人の生きる方向性に
影響を与えています。
「戦争」によって生じている、
日本の「罪悪感」の磁力のために
日本人は、心の中で自分で自分を
責め続けていることがあります。
そのために、心の方向性としては、
楽より苦労を、幸せより不幸を
選び易くなります。
そして、苦労の分、不幸になった分、
苦しくなり、心に余裕が無くなります。
「戦争」などを原因とする、
国や地域から生じている
「罪悪感」の影響力は、
磁石から離れると、
磁力が弱くなるように、
その国や地域から離れる
ことで弱まることがあるようです。
つまり、日本を出ることで、
「日本の罪悪感」の磁力から
の影響力が弱まり、ほっとできる方が
いらっしゃるように思います。
この仕組みが、日本に居ることで、
生きづらさを強く感じ、
海外で暮らしたいと望まれる方の
心理的な理由の一つだと
私は考えています。
(余談ですが、住む場所・地域を
大きく変える「転地療法」と呼ばれる
治療法が以前から存在しています。)
◆ ◆ ◆
今回は主に、国や地域からの
心理的な影響力の例として、
「戦争」から生じる
「罪悪感」の影響について
解説させて頂きました。
次回は、「家族関係」から
生じている心理的な影響に
ついて解説させて頂きます。
その影響も、日本に居ることが
嫌になり、海外で暮らしたくなる、
心理的な一因です。
次回もお楽しみに!(^^)
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3:日本人らしさとはムリとガマンと罪悪感?
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