元 保護犬、柴犬うみの物語<出会い編>

 

心理カウンセラー

長谷川 貴士です。

 

【カウンセラー長谷川】:

今日は、私が10年以上、
苦楽を共にしてきた(?)
わが家で飼っている
「柴犬」についての
お話の<出会い編>です。

 

【柴犬うみ】:

あたしも知らない話が聞けるかも?
どんなお話か楽しみ!

 

10年目のぼく
 < 柴犬うみと私(長谷川)播磨の梅園にて >

 

  • 柴犬・うみと出会う前
  • 柴犬・うみとの出会い

 

柴犬うみと花のイラスト

 

1:柴犬・うみがわが家に
来るまでのこと

 

もう10年以上前、2010年頃のお話です。


私は世間で人に揉まれながら

生きることに疲れ果てていました。


そこで、私は、人と関わることなく、

一人、自然と向き合うことができる、

農家を志していました。


そんな折、私は、縁あって、

京都府の中でも、

福井県との県境にほど近い、

北部の田舎で、


耕作放棄地と格闘する

こととなりました。

 

雪景色
 < その当時私が一人で住んでいた住居兼古民家宿の冬景色 >

 

私が耕作していた田畑は、

山すその立地でした。


田畑と目と鼻の先の山からは、

私が栽培している作物を奪いに、

夜な夜な野生動物が現れました。

 

ハクビシンたち
 <深夜に現れたハクビシンの家族>

 

鹿やイノシシを始め、

ハクビシン、タヌキ、

アライグマ、イタチ、

ヌートリア、猿の群れなど、


多様な野生動物たちが、

まさに年中無休で、

山あいにあった私の田畑を

狙い続けていました。


私は、その野生の力に

負け続けていました。

 

マメの畑
 <私の畑。枝豆(大豆)畑の様子>

 

私の栽培したお米や豆、野菜は、

いつも、収穫時期になると、

野生動物に食べ尽くされて

しまっていました。

 

イノシシ被害の後の畑
<上の写真と同じ畑。イノシシ被害で一夜にして。>


 

私も、その野生の力に

無策だったわけではありません。


野生動物から田畑を守るべく、

田畑の周囲には鉄の支柱を立てて、


そこにトタンの板や、

ネットを結びつけて、

柵を巡らしていました。


しかし、いざ、

お米や、野菜の収穫時期になると、

その作物を奪いにくる、

野生動物の力は容赦ありません。


鉄の支柱を押し曲げ、

鉄のトタン板をひしゃげさせ、

ネットを食い破って、

私の田畑に猛烈に侵入してきます。


私が育てたお米や野菜は

柵を破壊して侵入した野生動物に

全て食べ尽くされてしまい、

見る影もなくなっていました。

 

鹿の親子
 < 昼間から堂々と出没する野生の鹿の親子 >

 

収穫前になると、いつも

野生動物の襲撃があり、


そこまでお米や野菜を

育ててきた苦労が

水の泡になってしまう。


そのことに、私は、

ほとほと疲れてしまいました。

 

柴犬うみと竹


― 閑 話 休 題( 余 談 ) ―


私が数年間、育ててきた作物を

野生動物に奪われ続けてみて

分かったことは、


野生動物の

食べ物の好みでした。


野生動物もやはり、草より、

人間が長年にかけて、

美味しくなるように改良を重ねてきた、

お米や野菜が大好きです。


野生動物が好む順番は、

======

1番・お米

2番・豆

3番・野菜

最後に草。

======

これです。


シンプルに

栄養価(カロリー?)の

高い順番な気がします。


野生動物は、

お米や野菜の栄養について、

誰にも教わってないとは思います。


ですけど、

野生動物は、夜な夜な、

私の田畑に侵入しては、


上に挙げた好みの順番に

作物を食べて行きます。


まずは、お米(稲)から食べ始め、

お米を食べ尽くすと、

次は豆(大豆・枝豆)に移ります。


そして、豆も食べ尽くすと、

野菜(葉物、根菜)を食べ始めます。


お米や、野菜がある内は、

草は無視です。食べません。


真冬の何もない田畑では、

田畑に残ってる草を食べます。


しかし、お米や豆(=穀物)や

野菜を食べ続けることが、

野生動物の健康に

良いかどうかは分かりません。


野生動物にとっての

お米や豆(=穀物)や野菜は、


人間で言う、ケーキや

ラーメン、鰻やステーキ

みたいな位置付けかも知れませんね。


毎日は食べ続けられないし、

食べないけど、

たまに(食べ物が少なくなる、

冬の前の秋とかに)食べたくなる

カロリーの高い美味しいもの。


野生動物にとっての

お米や豆(=穀物)や野菜は、

そんな位置付けかな?と

思っています。

 

― 閑話休題(余談)終わり ―


◆  ◆  ◆

 

私が野生動物の食の好みに

詳しくなれるほど、


私の田畑への
野生動物の

激しい襲撃は、延々と

繰り返されていました。

私は、ほとほと

弱り果てていました。


私は、野生動物を防ぐための

策を検討しました。


私は犬を飼うことにしました。


この経緯で、私は、保健所から

保護犬を譲り受けました。


それが、今もわが家で

飼われている

「柴犬・うみ(めす)」です。

 

柴犬うみ2019年
      < 柴犬うみ・2019年秋 >

 

柴犬うみと草

 

2:柴犬うみとの出会い


「柴犬・うみ」は、

京都府・京丹後市で住民の方に

保護された保護犬でした。


「柴犬・うみ」は、

住民の方に保護されたあと、


警察署に「拾得物(=落とし物)」

として届けられ、

そこで1週間を過ごしました。


その間に、「柴犬・うみ」の

落とし主である、

その当時の飼い主は、


「柴犬・うみ」を

引き取りには現れませんでした。


その後、「柴犬・うみ」は

保健所に移りました。

そこでまた、1週間を過ごしました。


保健所では、「柴犬・うみ」は、

もう一度、人に飼われる適性が

あるのか?どうか?を調べる

<性格診断テスト>を受けました。


「柴犬・うみ」は、

そのテストに無事に合格。


保健所から、新たな飼い主の

元に送り出されることとなりました。


新しい飼い主(つまり、私ですが)

に出会うために、


「柴犬・うみ」は、次には、

京都市の動物愛護センターに

移動しました。

 

そこで、1週間ほど過ごした頃。

 

センターの職員さんに先導されて、

「柴犬・うみ」の元に、

一人の男性(つまり、私ですが)

が訪ねて来ました。


その見知らぬ男性が

自分に近づいてくると

「柴犬・うみ」は、

尻尾をふりました。

 

その勢いよく尻尾を振っている

柴犬を見た私の第一印象は、


「こんなスリムな犬も

 いるんだ」でした。


スリムな柴犬がいることが

私にはとっても意外な感じでした。

 

柴犬うみ、2010年8月
 <2010年8月の柴犬うみ。うちに来て2日目>

 

私は犬を飼うのはこの時が

初めてでした。

 

私がまだ実家で

暮らしていた子供の頃。

 
近所には犬を飼っている

家が4、5軒はありました。


どの家の犬も柴犬と

同じ系統の和犬でした。


私には、犬や、犬を飼うことについて、

この子供の頃に見ていた

イメージがありました。


私が、子供の頃、実家の近所で

犬を飼っていたどの家にも

家の外に犬小屋があって、

犬はそこに繋がれていました。


その近所の犬たちは、どの犬も

それなりにふっくらした体型でした。


私は、肥満気味な犬が散歩して

いる様子も、しばしば

目にしていました。


私には、(飽食の時代の

現代の)犬は太り気味なんだ、

この刷り込みがありました。


しかし、今、目の前にいる

柴犬(めす)は、

とってもスリムでした。


そして、私が近づくと

尻尾を振っていました。


(しかし、元の飼い主と

 はぐれた?心の傷からか、

 この柴犬は、この後、

 4年ぐらいは尻尾をふること

 がない状態が続きました。)


私には、子供の頃に身近に

見てきた犬のイメージから、


犬とはふてぶてしくて、
無愛想で、

何を考えているのか分からず、

近くを通るとキバをむき出しにして、

猛烈に吠えてきて、全く馴染みがたい。

 

私は犬にこんな印象を持ちながら、

保健所に柴犬を迎えに来ていました。


しかし、今、目の前にいる

柴犬は、スリムで小柄で

かわいらしく思えました。


私は、いい意味で裏切られ、

ほっとして、少し

うれしくなりました。

 

◆  ◆  ◆

 

私が動物愛護センターで

初めて出会った当時の

「柴犬・うみ」が

スリムに見えたのも当然でした。


その当時の柴犬・うみは、

標準的なの体重の

7割ぐらいの体重しか

ありませんでした。


つまり、人に例えるなら、

身長160センチ、

50キロぐらいが

まずまずの体重だとすると、


身長160センチで、

35キロ(50キロの7割)

しかなかった。


こんな感じでした。

ガリガリですね。

 

柴犬うみ、2020年8月②
 <2010年8月の柴犬うみ。うちにきて2日目>

 

しかし、その当時の私には、

犬についての知識は

ほぼなかったので、

犬の標準的な体重とか、

体型とかが全く

分かっていませんでした。


痩せすぎていた

「柴犬・うみ」を見ても、


「スリムな犬だなぁ。珍しいなぁ。」

としか思いませんでした。


今、思えば、あの初対面の時の

「柴犬・うみ」は様々な

心労や苦労で、ずいぶんと

やつれた姿だったんだと思います。


何か事情があって、
飼い主と

離ればなれになったショック。


警察署、保健所、

動物愛護センターと、

短期間に慣れない場所を

転々と移ってきた苦労。


特に「柴犬・うみ」は

すぐに車に酔う犬でした。


早いときには、

車に乗って3分も持たずに

戻してしまうぐらい、

乗り物酔いをする犬でした。

 

柴犬うみ2010年10月
<2010年10月の柴犬うみ。うちに来て2カ月頃>

 

「柴犬・うみ」は、

警察署(京丹後)から保健所。


保健所から動物愛護センター

(京都市)へと、


檻に入って、車で

移動したんでしょうから、

ずいぶんと苦労したと思います。


きっとそれぞれの場所でも、

一時預かりの身分の

「柴犬・うみ」は、


慣れない狭いゲージの中で

過ごしていたんでしょうし。


そんな、こんなで

160センチ、35キロの

ずいぶんとやつれた姿

だったわけですね。


そんな状態だった当時の

「柴犬・うみ」の前に、


なんの前ぶれなく、

ふらっといきなり現れた、

一人の人間(男)である私が、


柴犬・うみには、

初対面でどう見えたかは

知るよしもありません。


私の方は、初対面の

「柴犬・うみ」が


私に元気にしっぽを

ふってくれたことは、


とても印象的だったので、

今でもよく覚えています。

 

そんな、それまでの私が

知っていた、恐ろしい、

近寄り難い犬達とは違い、


スリムで好意的に見えた

「柴犬・うみ」でしたが、


やはり私は、恐る、恐る

近づきました。


これまでに、私が知っていた

犬たちのように、


いきなり吠えられたり、

突然噛みつかれたりしないか、

心の中ではびくびくしていました。


私を柴犬・うみのところまで

先導して、案内してくださった

動物愛護センターの職員さんが、


「柴犬・うみ」の頭を

遠慮なくなでました。


その職員さんに促されるように、

私も恐る恐る「柴犬・うみ」の

頭に手を伸ばして、撫でてみました。


「柴犬・うみ」は、だまって、

私に撫でられていました。

 

柴犬うみ2010年10月
<2010年10月の柴犬うみ。うちに来て2カ月頃>

 

柴犬うみと家

 

私は幼稚園児の頃に、

頭をなでようとした犬に

いきなり手をガブリと噛まれた

ことがありました。


私は急な激痛にびっくりして、

半べそになった記憶があります。


しばらくの間は噛まれた手に

犬の歯形が残っていました。


その出来事以来

私には犬と親しむ機会が

まるでありませんでした。


そんなこともあって、

私には、犬に対して良いイメージが

ありませんでした。


犬にやや不信感を抱いていました。

 

「柴犬・うみ」は、自分に近づいてきた

センターの職員さんには

シッポを振る仕草を見せませんでした。


しかし、私にはシッポを振りながら

近づいてきてくれました。


「柴犬・うみ」がシッポを振っている

姿を見せてくれていても、


私は、やや疑いながら、

手を伸ばしたらまた噛まれるかも、

そう不安になりながら、

おそる、おそる手を伸ばしました。


「柴犬・うみ」は静かに、

それに応えてくれました。


私は「柴犬・うみ」の頭を

撫でることができました。


犬に触れるのは20年以上

ぶりだったかと思います。


静かに頭をなでさせてくれた

スリムで大人しい「柴犬・うみ」

の様子に、私はなんとなく、


「柴犬・うみ」も、私と一緒に

私の家に行くことを

望んでいるような気がしました。


不思議と、人の言葉が分からない

(はず)の柴犬うみが、


今日、自分(「柴犬・うみ」)の

前にふいに現れた人間(男)が、


今、なんのためにここに来ているのか、

分かっているような気さえしました。


「柴犬・うみ」が、目の前に

現れた、人間(男・私)に


自分をここ

(動物愛護センターの檻の中)

から連れ出してもらおうと、


精一杯に、けど、ややおずおずと、

伏せ目がちに、私にアピールしている

ことが伝わってくる気がしました。

 

沢蟹と柴犬うみ
<2010年10月の柴犬うみ。うちに来て2カ月頃>

 

前述のように、私は、

犬を飼ったことがありませんでした。


犬との思い出と言えば、

頭を撫でようとした犬に

ガブリと手を噛まれたことぐらいで、


犬と触れ合って楽しかった

思い出もありませんでした。


そんな私でしたので、

犬を可愛がる、とか、

犬と楽しく暮らす、とか、


犬を一緒に暮らす家族として

迎えるという発想は

ありませんでした。


そもそも、私は、

犬が人間に可愛がられている

ところをほとんど見たことが

ありませんでした。


家の外の犬小屋のところに

ただ繋がれて、寝ているか、

うなだれている存在。


それが、私が自分の経験から

持っていた犬のイメージでした。


ですから、犬を飼うことや、

犬と生活することの実感が

よく分からずに、なんとなくで

ここまで来ていました。


犬を飼う理由は、
ただ自分の

田畑の作物を奪いにくる

野生動物を追い払いたい!

この一心でした。


その思いで、犬を迎えに

動物愛護センターまで来ていました。


しかし、今、目の前に居る

「柴犬・うみ」は、


「犬は太り気味」という

私の思い込み裏切る

とってもスリムな柴犬でした。


その予想外の柴犬が

私が近づくとシッポをふって、

私に頭を撫でさせてくれました。


私は、さっそくに、すっかり、

この柴犬をぜひ飼いたいな、

と思いました。


私は、スリムで軽い、その

柴犬を抱えて、車に乗せました。


そして、家路に着きました。


次回に続きます。

 

柴犬うみ2010年12月
 <2010年12月頃。鹿の骨を喜ぶ柴犬うみ>

 

次回の

「元保護犬、柴犬うみの物語<活躍編>」

では、

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1:柴犬うみと暮らし始める

2:柴犬うみは夜ぐっすり眠る

3:柴犬うみは名ハンター

4:柴犬うみは母親になる

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こちらをお届けします。

次回もお楽しみに!

 

柴犬うみ2019年秋②
 < 2019年11月の柴犬うみ >

 

次の記事はこちらから

「元 保護犬、柴犬うみ の物語<活躍編>」