5:自分を失わせる愛

 

私達を幸せにするのも「愛」なら、

私達の幸せを制限するのも

また「愛」であることを


カウンセリングの
臨床現場で

見続けてきました。

 

こんにちは!

心理カウンセラー

長谷川 貴士です。

 

  • 自分を失わせる愛
  • 2回目のカウンセリング
  • 祖父との「同一化」、自分を失う
  • 母親の運命を尊重する
  • 職場でのいじめが無くなる

 

柴犬うみと花のイラスト

 

1:自分を失わせる愛

 

自分を失わせる「愛」があります。


私達はときに、
「愛」のために、

自分の大事なものを

相手に明け渡してしまいます。


それが、
お金や、時間なら、

相手はその「愛」によって

差し出されたものに

お返しをすることができます。


その時、
そのお互いの

ギフトのやり取りが

二人の絆をより一層

深めてくれることでしょう。


しかし、
相手に明け渡す

自分の大切なものが、

自分の心そのものや、

命だとしたら。


それは、埋め合わせも

代替もきかないものです。


それは
「愛」によっての

行為とは言え、自分を失う

悲しい出来事です。

 

柴犬うみと竹

 

子供の頃から

生きづらさを感じてきた。


学校や職場でいじめに

あってきた。


心が真っ暗な感じがする。


このような方々に

多い心理現象があります。


その心理現象は、

自分を失う「愛」の結果です。


Nさんもその
心理現象の

中に居たために、


いじめを受け、

生きづらさや、

心が真っ暗な感じを

長年感じ続けてきた人生でした。


今回は、その心理現象の

特徴について分かる記事です。


お読み頂ければ、

生きづらさや

心が真っ暗な感じを


抜け出るための
重要な

ヒントになると思います。

 

2:2回目のカウンセリング


 

私との1回目の

カウンセリングで


自分の心の課題を

克服するための手応えを

得ることが出来たNさんから


2回目のカウンセリングの

ご予約を頂きました。

 

【 2014年 3月 21日 】


2回目のカウンセリングに

お越し下さったNさんは、


明らかに
前回カウンセリングに

お越し下さった時より

お元気そうでした。


前回はNさんの目には

曇りのような感じがあり、

眼の光が不明瞭でした。


しかし、
今回は眼の光が

ハッキリと分かるように

なっていらっしゃいました。


そのような客観的にも

見つけることができた

Nさんの変化を、

Nさんご自身も

気付かれていました。


Nさんはご自身の変化を

言葉では、ハッキリと

良い表すことができない、


心の深いところの

変容の感覚として

明確に感じられていました。


心のことは、本当には、

正確に言葉に

できることがありません。


心の変化は、
言葉にはできない

深い感覚の変容として、

気が付きます。


または、シンプルに

自分の行動の変化として

気が付きます。

 

柴犬うみと草

 

3:祖父との同一化、自分を失う

 

1回目のカウンセリングでは、

Nさんから お父さんや、

お父さんの家系に向かう

「愛」による

心情の「もつれ」を扱いました。


そこで、今回、

2回目のカウンセリングでは、

Nさんから お母さんや、

お母さんの家系に向かう

「愛」による

心情の「もつれ」について、

見てみることとなりました。


やはり、私達の心理の中では、

父親、母親の存在が

とても大きく、重要だからです。


心理カウンセリング 大阪 箕面・家族のイラスト


カウンセリングが始まると、


「 同居していた、 

 母方のおばあちゃんが

 亡くなった時には

 記憶が無くなるぐらい泣いた」


Nさんはこう、

教えてくださいました。


これは、Nさんと、

Nさんの母方のお祖母さんとの

つながりの強さを

表すエピソードのように

思われました。


そして、

実際に母親、母方の家系に

目を向けるワークに入ると、


ちょっと意外なことが

見えてきました。


教えて頂いた

エピソードからは、


Nさんから

母方の祖母へ強い思いが

あるように思われました。


しかし、ワークの中で

表れてきたことは、


Nさんからの

母方の祖母への思いよりも、


方の祖母からNさんへの

関心や思いの方が、


強烈とも言えるぐらい

強かったことが

浮き彫りになりました。


母方の祖母の夫

(母方の祖父)は、


Nさんのお祖母さんが

Nさんのお母さんを、

妊娠中に戦死された

とのことでした。


この不幸な出来事の
ために、

母方の祖母が、

夫(母方の祖父)を

心の中で求める

気持ちが生まれます。


この祖母の気持ちに応えるように、

孫のNさんは、 母方の祖父の役割を

引き受けることを 心の中の無意識の

部分で決めていました。


自分がお祖父さんのように

なることで、


お祖母さんを安心させ

喜ばせようとしたのです。 


これが、Nさんから

家族への隠れた「愛」です。


この
「愛」のために、

Nさんは、心の中では、


自分を祖父の位置に

置くことを引き受けて 

いらっしゃいました。


このために、

無意識のレベルの、

心の深いところでは、


自分が祖母の
夫で

あるかのような

思いを抱えながら

生きることになっていました。


そして、

 「母方のおばあちゃんが

 亡くなった時には、

 記憶が無くなるぐらい泣いた。」


これが起きていました。

 

Nさんは、自分の祖母が

亡くなったときに、

自分(Nさん)の

長年連れ添った奥さんが、


自分よりかなり早く、

亡くなってしまった感じに

襲われたからです。

 

◆  ◆  ◆

 

Nさんがこのような

心境になってしまったのは、


Nさんの心理に、

母方の祖父との「同一化」

起きていたからでした。


「同一化」
とは、

無意識の内に、

(自分でも気が付かない内に、)

心理的に自分以外の

誰かになってしまう心理現象です。


心理の臨床の現場では、

20年以上前から認識されてきた

心理現象です。


Nさんは、
お祖父さんとの

「同一化」のために、


お祖父さんの役割や

感情、感覚を引き受けていました。


そのために、

Nさん自身の心、感情や感覚、

自分は何が好きで、

何が嫌いか、などを失っていました。


そして、
無意識の内に、

自動再生的に祖父になり切ろうと

する人生を生きてこられました。


こうして、
自分の

心を失っていたために、


なぜだかいつも

心が真っ暗闇な感覚、


自分の心が見えない感覚に

なっていらっしゃいました。


Nさんは、

この自分の心理状態への

つらさや、疑問から、


20才頃から

心理カウンセリングに

興味を持たれていました。


それ以来、20年以上も
Nさんが、

カウンセラーや、セラピスト

のサポートを頼りにされ続けて

こられたことは、よく分かることです。


わずかでも、
光が見たかった

のだと思います。


このNさんが20年以上

望まれていた光明を、


Nさんは
私のカウンセリング

にたどり着くことで、

ようやく見出すことが出来ました。


このために、
Nさんは

私のカウンセリングをリピートし、

継続して利用くださいました。

 

ここがポイント!

 

4:母親の運命を尊重する

 

母方の祖父が、娘を妊娠中の

妻を残して、戦死することで、


Nさんのお母さんは

産まれながらにして、

父親を知らない運命を背負いました。


この運命のために、

Nさんのお母さんは、

自分のお兄さんを、

父のように慕っていたようです。


しかし、
そのお兄さんも

幼くして、水の事故で

亡くなってしまいます。


Nさんのお母さんは、

自分の父親や、兄への思い、

ショック、つらさなどを

心の内に抱えることとなりました。


そのために、
どうしても、

Nさん(娘)の母親としての

自分の立場に集中することが

できませんでした。


Nさんには、
お母さんが、

自分の夫(Nさんの父)、

や娘(Nさん)より、


自分の育った家族への

関心が強いように、

長年感じられていました。


ワークを通して現れてきた

Nさんのお母さんの心の中は、


1度も会うことが

無かった父親への想い、

亡くなった兄への想いなどが

大事な場所を占めていました。


このために、

自分の夫や、娘には

十分に心を向ける

ことが出来ない。


そんな心の状態でした。


そして、Nさんは、

母方の祖父と

「同一化」していたので、

無意識の内に母親について、


自分の親と言うよりは、

自分の娘であるかのように

感じられていました。


Nさんは、自分の祖父と

「同一化」することで、


母親が抱えていた、

1度も会うことのなかった

父を想う想いにも

応えようとしていました。


これがNさんから

母への隠れた「愛」でした。

 

◆  ◆  ◆

 

のような事情が重なり、

Nさんは、お母さんに対して


「あなたは
私の母親ではない!」

という怒りの感情を

抱いていました。


このような全ての事情が

明らかになった後で、


Nさんと、母方の祖父との

「同一化」

解消するワークを行いました。


その後で、

お母さんの経験した運命や、

お母さんが抱える

父親、兄への思いを 尊重 し、


お母さんへ、

自分の理想の母親像を

期待し続けることを

あきらめるワークを行いました。


ワークの後で、Nさんは、

とても深い虚脱感を

感じられていました。


20年以上の長い年月を

家族への一途な「愛」によって


頑張り続け、
取組み続けて来た、

人生の一大事が終わったようでした。


柴犬うみと家


5:職場でのいじめが無くなる


その後、Nさんは、

さらに元気になるために、


自分の宿命からくる

人生の課題を克服するために、


翌月に次のカウンセリングの

ご予約を入れてくださいました。


しかし、諸事情により

キャンセルとなりました。


それから、Nさんから次の

ご連絡を頂いたのは、

9か月後の、2014年12月でした。


そして、

2015年1月に3回目の

カウンセリング&ワークと

なりました。

 

【 2015年 1月 】

9カ月ぶりにお会いするNさんは、

すっかり見違えていました。


まず、顔が明るい、
血色が良い。

目がやさしくなっている。


パッと見ただけで、

そのことにハッキリと

気が付けるほどでした。


Nさんは、これまでは、

どの職場でも必ず、

いじめられたり、

後輩にバカにされたり

があったようなのですが、


それもずいぶんと
改善されて、

職場ではほとんど嫌なことも

なくなったようでした。


それでは、次回は、

Nさんと3回目、4回目の


カウンセリング&ワークを

行ったレポートです。


どうぞ次回もお楽しみに!

 

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 4:子供の愛が導く自己犠牲