6:悩みの【真の原因】を解消する

 

自分を変えたくて、20年以上

心の課題や悩みを解消しようと

頑張って来られたNさん。


Nさんは、病院への通院や、

カウンセリングなどの

様々なサポートも活用

されていました。


それでも、満足に変わることが

できなかったNさん。


そのNさんも、私との

6回のカウンセリングで

望んでいた変化を手に入れる

ことができました。


今回は、

Nさんがカウンセリングを

利用された様子と、得られた変化の

レポートシリーズの6回目です。

 

 

心理カウンセラー

長谷川  貴士です。


今回は、Nさんの3、4回目の

カウンセリングの様子を通して、


Nさんがこれまでに

20年間以上、様々なサポートを

利用しても克服できなかった

悩みの【 真の原因 】について、

明らかになっていきます。


そして、今回も、

Nさんの事例を通して、

私達の悩みの【 真の原因 】と

その解決方法について、

より明確に知ることができます。

 

  • Nさんの悩み、独身と結婚
  • 亡くなった兄弟
  • 怒り、憎しみを手放す
  • 4回目のカウンセリング
  • 心の変化のペースについて
  • 家族が早く亡くなることの影響
  • 今回のワークのその後

 

1:Nさんの悩み、独身と結婚

 

【 2015年 1月 】


9カ月ぶりにカウンセリングに

お越し下さったNさんは、

以前とは、見違えるほど

明るい顔をされていました。


そんなNさんと
3回目と4回目の

カウンセリングを2日間に分けて、

続けて行ないました。


今回、Nさんが

お話されたお悩みは、


「独身である自分」
と、

「結婚」についてでした。

 
 

< Nさんの悩み >

 

  • 独身=不幸の思い込みを変えたい
  • 私は好きになった人から好かれない
  • 両親の不仲を十分に見ているのに、
    結婚=幸せと思っているのはなぜか?
  • 40代半ば(45才)となって、
    独身なことが不安に感じられる。

    しかし、

    男性の悪いところばかり目について
    すんなり結婚することは、
    自分にはできそうにないと感じる。
  • 子供を出産したい、、、もう無理かな
  • 結婚も出産もできない人生に
    何の意味が?と思えて虚しくなる。
  • 仕事(医療事務)はしているが、
     「独身=無職、何の役にも立っていない」
    この思いが強くて苦しい。
  • 年下の上司が不妊治療の結果、
    妊娠したことについて、
    祝う気持ちになれず、つらい。


  

このNさんの悩みの解消に向けて、

3回目のカウンセリングでは、

流産で亡くなっている弟さんに、

焦点が当たることになりました。

 

2:亡くなった兄弟

 

Nさんのお母さんは、

Nさんの弟にあたる子供を

流産されていました。


Nさんが小学校1年生の時

だったそうです。


このために、Nさんは、

一人っ子でした。


この出来事がNさんの

深層心理に与えた影響は

以下の通りでした。

 

起きていること<1>

 

母親の心の中に、流産で

亡くなってしまった弟を、

見続けている部分があることで、


その分、生きている子供、

つまりNさんへの

関心が減ってしまいます。


その分、Nさんは、母親からの

関心をより集めようとして、


母親からの関心を集めている

弟のように自分もなろうとします。


永遠に成長することのない

弟と 自分も同じであろうとします。


このために、

精神的に大人になることを拒み、

成長せずに

子供っぽさを残したまま

なろうとします。


<その結果>


周囲の人達からは、

「自立心や責任感に欠ける人」

「子供っぽくて、わがままな人」


このような評価を得る

態度や振る舞いが無意識の内に

多く出てしまいます。


そして、

自立した大人がする行為である

結婚につながるような恋愛に対しても、


精神的に子供であることで、

苦手感や、進めない感じが

出てしまいます。


起きていること<2>

 

両親の子供がNさん一人と

なってしまったことで、


「両親が寂しくならないために、

いつまでも両親の子供として、

私は両親のそばから離れません」


Nさんには、このような思いが

できていました。


このために、Nさんの

深層心理では以下のことが

タブー(=してはいけないこと)

になっていました。

 

「両親から自立する自由」

「恋愛、結婚をして、
 家から出る自由」

 

Nさんの深層心理では、

Nさんは、自分の人生より、


両親が寂しくならないことを

優先していました。

 

<この結果>

 

この結果、Nさんには、

反抗期が無かったそうです。


反抗期が無い子供は、

両親に負担やストレスを

かけまいとしています。


Nさんは、この両親への

思いやりを優先して、

自分の意志を両親に表現する

ことを断念されていました。


これは、Nさんから両親への

「愛」ですが、


この自分より両親を優先させる、

「自由」の無い状態

長く続けるならば、


それは、やがて苦痛となります。


この苦痛の原因を両親に

求め始めることになった時、

両親を憎み始めます。


Nさんは、苦痛の原因を両親に

求め始め、両親を憎んでいました。


両親を憎みながら、

ご実家から出ることなく、

両親との生活を

続けて来られていました。


このために、年々、両親への

不満を募らせ、さらに両親との

関係を悪化させてしまうことに

なっていました。

 

起きていること<3>

 

弟さんの流産による死によって、

Nさんの深層心理の中では、


自分が家や両親を

守らなければならない。


自分だけしかそれができない。


このような強い責任感が

生まれていました。


それと同時に、

生きることが出来なかった

弟を哀れむ思い

大きく出来ていました。

 

<この結果>

 

この二つの思いから、

Nさんには以下のような決意が

固まっていました。


亡くなった弟が人生を

楽しめなかったように、

私も人生を楽しまない。


そして、


長男であるはずだった

弟の分まで、私が

両親や家の責任をとる。

 

このために、

自分が結婚して、

出産できていないこと、


つまり、家の跡継ぎを

産んでいないことについて

強い罪悪感を抱く原因に

なっていました。

 

3:怒り、憎しみを手放す

 

弟さんが流産で亡くなって

しまったことで、


Nさんの深層心理に

生まれた影響は

このようなものでした。


この影響を解消するために、

Nさんと、流産で亡くなった

弟さんと向き合うワークを行いました。


そのワークを進める中で、

精神的にずっと子供のままで

居続けると決めたことで


恋愛や結婚へのチャンスを

失ってきたことへの

怒り、悲しみを

解放することもできました。


怒りや憎しみが解放され、

払拭された後の心には、

「愛」が残ります。


今回のワークでNさんの

お母さんや、弟さんへの

「愛」がより純粋なものとして、

Nさんの心の中で輝くことになりました。

 

柴犬うみと竹

 

4:4回目のカウンセリング

 

3回目のカウンセリングの

翌日に、Nさんとの4回目の

カウンセリングを行いました。


そこでは、もう一度

母の父が戦死したこと

焦点が当たることになりました。

 

今回、4回目のカウンセリング時に

行われたワークでは、


同じく母の父の戦死に焦点が

当たった2回目のカウンセリング

の時のワークより、


Nさんの反応が明確で、

ハッキリしたワークとなりました。


これまでの3回の

カウンセリング&ワークの効果で、

Nさんの困難を乗り越える力や

元気が順調に引き出され、

増していることが感じられました。


この4回目のワークでは、

両親を表すイスと

向き合った時のNさんからは、

以下のような声を頂きました。

 

「父が自分より若く感じられる」

「母がか弱く思える」

「私は自分の命を自分で
 守らなければいけない
 気がする」

 

このNさんの感じられたこと

から分かることは以下の通りです。

 

「父が自分より若く感じられる」


このことから、

Nさんが心理的に、

お父さんより前の世代の方

(年上の方)の

役割を引き受けている様子が

伺われました。


そして、それは、


自分の命を自分で守らなければ

ならないような過酷な状況に

身を置いた方であることも

見えてきました。


そして、この後も

いくつか確認していくと


Nさんが心理的に役割を

引き受けていた相手は、


やはり、
戦死された

Nさんのお母さんのお父さん

(母方の祖父)でした。

 

5:心の変化のペースについて


 

Nさんとは、2回目のカウンセリングで、

Nさんと戦死された母方の祖父との

「同一化」を解消するワークを

行いました。


その2回目のカウンセリングでも、

その日にNさんの心が許容できる

目一杯は、お祖父さんとの心理的な

「同一化」を解消するために

進むことができていました。


しかし、

心理的に自分とは他の人になってしまう、

「同一化」のような

影響が深い心理現象においては、

1度で全てが解消できないことも多いです。


それは、心に1度に大きすぎる

変化が起きてしまうと、

心の変化への許容度を超えて

しまうからです。


心は自分を守るために、

許容度を超える変化の、

受け取りを拒否します。


ですから、心の変化はゆっくりと

進むことがほとんどです。


心の変化とは、

私達の頭がくるくると考えを

変化させることができるのとは

全くちがったペースを持っています。


心の変化は、私達の身近な

ところでは、植物の変化に似ています。

 

< 例 >

例えば、園芸では、松の木の枝ぶりを

自分の好みの形に変えるために、


添木をしたり、

引っ張りを加えたりする

ことがあります。


そして、半年、1年と
かけて、

松の木の成長とともに、

理想としたカタチに変わっていきます。

 

松の木

 

また、私達がかつて

種を蒔いた 朝顔のように、

土の中に種を蒔き、

水をあげたからと言って、

すぐには芽が出ません。


しかし、だからと言って、

種が死んでしまっている

わけでもありません。


種は土の中、見えないところで

芽を出す準備を続けています。


そして、やがてその日が

来ると、芽を出し、双葉を広げます。


その後も、目を凝らして

じっと見ていても朝顔が

成長しているのか?

どうかは分かりません。


しかし、それでも、

成長は続いています。


1週間も見ない内に、

双葉だった朝顔はツルを伸ばし、

葉の数を増やし、

着実に成長していることを

示してくれます。


そして、3か月もした頃には

花が咲きます。


朝顔の花


心の変化のペースも、この植物が

持つ成長のペースと似ています。


花が咲くところまで

いっぺんに進むこともないですが、


それでも、適切にケアし続ければ、

その変化の成長は止まることなく

着実に進んでいくことができます。


そして、やがて、花が咲きます。


柴犬うみと草


6:家族が早く
亡くなることの影響

 

それでは、また、話をNさんの

4回目のカウンセリングに戻します。


ワークが始まり、

いくつか確認していく中で、


Nさんが心理的に役割を

引き受けていた相手が、


やはり、
戦死された

Nさんのお母さんのお父さん

(母方の祖父)である

ことが明確になりました。


そこで、今回は、2
回目の

ワークでは十分に目を向ける

ことが出来ていなかった、


母方の祖父が戦死されたことで

心に深い傷や影響を受け取った

Nさんのご家族一人一人に

注目しながら、その心の傷を癒す

ワークを行いました。


その家族の方々は

以下の3人の方でした。


・母方の祖母(祖父妻)

・Nさんの母(祖父娘)

・お婿さんに入っていた
 Nさんの父


家族の中で、早く亡くなって

しまう方があると、


私たちの心の中には、

深い悲しみとともに、

その早く亡くなってしまった

方への怒りも生まれます。


その方が本来、生きていれば

果たされたはずの役割が

失われてしまったことに

対しての怒りです。


Nさんのご家族の心理の中にも、

この様子が見られました。


Nさんのお母さん、

お祖母さんからの、


戦死されたNさんの

お祖父さんへの怒りは、

解消されることなく、

癒されることなく、

深層心理に残っていました。


そして、その心に残った

ままになっていた怒りは

怒りの対象を変え、


Nさんの祖父と同じ男性である、

Nさんのお父さんへ

向かっていました。


この影響は、Nさんの両親が

不仲になる一因でしたし、


婿に入った、Nさんのお父さんと、

Nさんのお祖母さんとの不仲の

一因にもなっていました。


この心理の影響をNさんは、

ワークを通して実感することに

なりました。


そして、それぞれの心に癒しを

作るワークをともに行いました。

 

◆  ◆  ◆

 

今回のワークでは、

Nさんの両親の不仲や、

Nさんのお父さんと

お祖母さん(母の母)との

不仲の原因が、


子供であるNさんの

力不足のせいでもなく、


それぞれが嫌いあって

いたためでもなく、


戦争という、個人の力では

変えることの出来ない、

大きな運命に、Nさんの家族が

巻き込まれてしまっていたため

だったことが

Nさんの心に明確になりました。


このことで、Nさんは、

これまで抱えてきた、

家族の不仲に対する、

自責の念や、罪悪感などの、

心の重荷を大きく下ろすことが

できました。


このワークが終わった後で、

Nさんから、


「これまでより自立できる

 気がしています。

 まだ、少し怖い気も

 しますけど。」


こう教えて下さりました。


知らない内に強く背負って

しまっていた、


家族への責任を下ろす

ことができて軽くなった分、


自分の足で、自分の人生を

十分に背負っていける

自信が増えたようでした。

 

柴犬うみと家

 

7:今回のワークのその後

 

この3、4回のワークから

2週間ほど経った後に頂いた

Nさんからメールには

以下のように書かれていました。


「これまでに無く、父親、母親に

 反抗することができました!

 大変遅い反抗期をしています!」


こう、興奮気味に元気良く、

書かれていました。


Nさんが、45歳の大人としての

ありのままの自分を

取り戻しつつあるのが感じられて、

私もうれしく思いました。


その「大人の遅れて来た反抗期」は

台風のような時機だったようです。

 

それは、10日もしたら過ぎ去ったようで、


「今は普通に父と母と 

 会話をしています。」


という近況も続いて頂きました。


また、よかったなぁと思いました。


 

◆  ◆  ◆

 

このようにプロセスが進み、

Nさんは、


本当の自分を取り戻す道、

家族との暖かい繋がりを

取り戻して行く道

 順調に歩まれて行きました。


そして、それに連れて、

結婚や出産について、

思い悩む苦しさも

薄れていきました。


さらに、3カ月、半年と

時間が経つ中で、


結婚や出産のことで

苦しく思い悩むことが

無くなっていきました。


そして、結婚や、
出産できなかった

ことについて、

フラットな気分で向き合う

ことが出来るようになりました。

 
つづく

 

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 5:自分を失わせる愛